☆時載り (2010/11/20)

 2年半ほど前,“情報”を栄養分(主に読書で摂取)として生存し,また,その蓄えた情報を使って時を操ることが出来る,特殊な種族の女の子が主人公のライトノベルを読みました。主人公の幼馴染みの男の子が語り手で,でも小学生としては語り口や目線がいたくオッサン臭い――と思えてしまう以外は,キャラクタ配置やら設定を明かすタイミングやら主人公たちが冒険へ“巻き込まれに行く”風合いやら,ある種の児童小説を読んでいるような楽しさが無きにしも非ずで割と好印象だったのですが,結局,2巻までで已めてしまいました。何故か。
 で,それきり忘れていたのを先日本棚から発掘して,そ云やこんなのがあったっけ,と久しぶりに読み返してみたら,前半分はやっぱりどこか懐かしい雰囲気もあってそこそこ楽しめて,なんで読むの已めちゃったんだっけな,と首を捻りかけたのですが,更に読み進めるうち程なくして――

 あああそうだった‥‥この主人公変身しちゃうんだっけ。掛け声とともに。

☆涼 (2010/09/11)

 7月末に「さんきょそん」を見に富山へ行きました。駆け足だったのと湿気多めだった(降って照ってガスって)のとで,落ち着いて見物は出来なかったし扇状地はずれの展望台に上ってもあまりいい眺望は得られなかったのですが,えらい久しぶりのブラリ長距離(私用)ドライブはやっぱりいい気分転換でした。
 よって,このまま永遠に茹だり続けるのではないかと恐怖に打ち震えた間氷期9月のさる休日,「そうだ,高原の風に吹かれよう!」と現実逃避を思い立ったのは必定と申せましょう。高原と聞いて私の心当たりと云えば美ヶ原車山霧ケ峰の一帯なので,その辺へふらふら行って参ったわけです。ああ! フリース羽織ってても肌寒いだなんて!!

 ‥もう一回云っていい?

 嗚呼! フリース羽織ってても“肌寒い”だなんて!!!

 ここは一体何て云う天国か。残念ながらマツムシソウ,フウロウソウなど高山植物はもう殆ど終わり。しかし,てことはつまり,山小屋風レストランの露台でコーヒーをすすりながら天を仰げばちゃんと秋の空です――いやいやいやいや,なんだよ,ちゃんと来てんじゃん,秋! 下界暑すぎ!! 高原地帯をグルリ回って蓼科の別荘地からほんのちょっと下っただけであっと云う間に秋から真夏に逆戻りです。ここから更にヒートアイランドへ戻るんだよなオレ,と一転してえらく憂鬱な家路でありました。
 とは云え,台風一過で一気に涼しくなりましたかね。――涼しく感じられるようになりましたかね。

☆第七の地獄 (2010/08/19)

 0815:コミケット三日目。よしひこ君の代打ちでビッグサイトへ。暑いのは大嫌いですがしかし最終的に耐えられないことは此れ迄無かったのに,今回ちょっとヤバくて一瞬ホントに倒れるかと思いました。東館に冷房が入ってるなんて私は初めてで,開会当初こそ夏コミらしからぬ(相対的な)快適さを味わえたものの,時間の経過とともに冷風は焼け石に水へと成り果てます。ブースの場所が自分にとってアウェイもいいところなのは何時ものことですが,べらぼうな暑さで耐久力がガタ落ちたのか,ブース前を絶え間なく往来する,18禁方向へ捻じ曲げられた中野梓をあしらったバッグ群を目にするのもやけに苦痛になって来ました。昼過ぎに休憩がてら西館創作コーナーを逍遥して,COMITIA然とした空気に些か慰められはしたものの,でも暑さのあまり立ち止まるのが億劫でただ眺めながら通り過ぎるだけ。オレ此処に居てもメリット1つもねーじゃん,と憔悴しながら恐ろしく後ろ向きになって,一四〇〇時に代打ち補佐の皐月章くんに撤退を打診。しかし代打ち補佐であるよりも何よりも先に,彼はまず買物将軍(Buy Commodore ‥とか)なのでした。「同志トノ戦利品分配未ダ完遂セラレズ,本拠点ヲ断固死守スベシ」とにべもありません。
 ストレッチャーに載せられ救急車へと呑まれて行く多分熱中症の急患をやり過ごしながら,オレもホントにヤバくなったら将軍を置いて逐電逃亡する――てのを最後の最後の最後の手段として,それから脱水補給しつつ熱気に炙られること2時間,結局一六〇〇時の閉会まで居続けてしまいました。勿論,閉会まで居ること自体はむしろ斯くあるべしですし,3日間のマンモスイベントを無事に終えたスタッフの人たちが,歓声を上げながら胴上げらしきことをしていたのは締めとしてとてもよかったのではありますけれども(ホントにお疲れ様でした),こちらの有り様を云えばビッグサイトからの脱出にタクシーを使ったのは恐らく初めてで,皐月くんには「どんだけ疲れてんだ??!」と驚かれてしまいました。いや自分でもビックリ。もう2度と夏には来まい,とウッカリ誓ってしまった夕方です。
 アウェイにもかかわらず私の本を2冊とも買ってくださる方がチラホラいらしたことは,思いがけず嬉しかったですが‥いやもう――スイマセン,頑張ります。
 あとは‥

ビールがすンげー旨かった


☆晩春〜梅雨〜夏 (2010/07/12)

 ちょ〜っと気温が高くなると間食さえ億劫になって常に電池切れっぽくなっちゃいます。消化機能も低下。昨日所用で御殿場(の手前)へ行った帰り,PAで笊蕎麦に芋天と掻き揚げをつけて晩飯としたら,油の消化に胃の方へ血を取られてもう眠い眠い。交替なしの運転手なんてもうヤだよ! いやしかしホントに食事が苦痛です。夏でも食欲湧くのとなると‥‥とろろ蕎麦最高! カレーライス最高! チリソース料理最高!(ああこりゃビールのつまみだ!)

 なんとなく景気をつけてみました。はやくあきになれ。

☆キャラもの (2010/07/10)

 左のボールペン落書きとは全然関係ない話:先日,夏のコミケットに参加するよしひこ君ちに,お手伝いチケットを受け取りに行ってきまして,その際紀伊国屋に寄って古典部シリーズの5(『ふたりの距離の概算』)を買いました。で,夜半大分過ぎに家に戻って,寝る前にほんのちょっと,と本を開いたらそのまま読み続けて読み終え――しまったまたかよ! 他の本を片付けてからゆっくりじっくり読もうと思ってたのに! やはり買う前に拾い読みして最初の1行でウッカリ吹き出しちゃったのがまずかったようです。

 先読みが容易でミステリとして物足りないの由チラホラ聞こえる当該作品ですが,世の作家先生方には大変申し訳ないことに,探偵小説だろうと冒険小説だろうと幻想伝奇小説だろうと,須らくキャラクタものとして読んでしまう当方には全く問題なく楽しめる作品でした。
 登場人物の人となりやら人物同士の掛け合いやら,物語の進展に伴って人物同志の関係性がどう変わるか或いは変わらないか,そしてそれらをどんな語り口(文体とかテンポとか)で語って行くか,そこら辺が最重要なので,先読み出来ようが出来まいが殆ど関係なくて,と云うか,物語空間で一緒に遊んでいたいのでそもそも先読みはしませんし(場合によっては,緊張に耐え切れずに結末を先に文字通り読んでしまうことはありますが――推理作家には怖くてこんなこと云えません),例えばそう,全くどうでもよさげな「真夜中の赤信号」を巡る短いダイアローグだけでもご飯三杯いけますので,,‥なんかどうなんだ,あんまり頭良くないんでしょうね。

 実のところ,いつもの苦含みが今回ちょっと無理矢理っぽいと云うか,<やゝネタバレ>大日向を突き放すような形で締めくくられてた点</やゝネタバレ終わり>が少々気にはなったのですが。かと云って,あれから千反田をトリガーにして折木が渋々“学外に手を伸ばす”展開じゃまるで別物ですし,別に大日向の問題を解決するまでしなくても,そう,それこそ「気が向いたら」の一言を投げるだけでも‥ああこれじゃ「ものは云いよう」レベルだな,どうあればよかったんだろう。または,P217L16や,P229L4からのくだりとか,中学時代の大日向サイドのエピソードが何かありそうなのが今後活きて来たりするんでしょうか。それともそれはこちらの単なる読み違いで,今後はないんでしょうか。まぁでもとにかく,とても面白かったです。

☆もの知らぬ人 (2010/06/28)

 たまに更新しようとするとTV絡みの話題ばっかりのような気がして些か心苦しくはあるものの,でも始めます。大丈夫すぐ逸れるから。
 先日,ビールをかっ喰らいながらなんとなくTVを見ていたときのことです。埒もない2時間サスペンスだったのですが,序盤の1シーンにこんな説明テロップが入りました:「富山県・散居村」。
 ‥読めない。

 ‥‥ちりいむら?

 そんな遠距離からスパナ引っ張り出してたらダメじゃん犯人,などと云う虚しいツッコみは早々に引っ込めつつ手近の道路地図を繰ったところ,そのドラマに出て来る他の地名(砺波とか井波とか――伊波じゃないんだ,残念だ?)はすぐ見つかるのに,その村だけ見当たりません。あ,もう新潟県だ,こっちはもう岐阜県か。確かに「富山県」と付いてたからこっちの方じゃないよな。ちなみに手持ちの道路地図はどれもこれも古いものばかり。一番新しくても既に刊行後14年経過。例えば「南砺市」なんて影も形もありません。なにせ「浦和市」も「田無市」も健在なのですからナメてもらっては困ります。とは云え,平成の大合併を経たとして尚「村」ってことはまずないでしょうし,以前からある地名だと考えるのは妥当でしょう。だから古い地図でも問題ない筈なのです。畜生おかしいな!

 オチを申し上げますと,そもそも地名じゃありませんでした‥‥。さんきょそん。
 仕方なく後でネットを頼ってみたら至極あっさりと解が出ました。集落の一形態を(と云うか集まっていない様を)表す地理学的な用語で,つまるところその場面では,例えば "Somewhere in the Greek Islands 1944" のようなことを云いたかっただけで――いやいや,それならそれで「富山県・砺波平野の某所」とかさ?! 場所を説明するに形態を示す名詞を持って来るって,言葉の使い方としてどうなのよ! でもどうやら富山の扇状地の辺りは散居村の典型例であるらしく,観光ガイド的な意味でそんな座りの悪い表記にしたのかも知れません。撮影協力地の宣伝と云うか。まぁどうでもいいんですけど,少なくとも,久しぶりにドライブなぞしたくはなりました(古い地図持って)。

☆阿弗利加,阿弗利加! (2010/06/23)

 テレ東・お昼のロードショウで『風とライオン』がやる,てことで,若しや今週はショーン・コネリー特集なのかな,とか何となく思ってみてみたら豈図らんやアフリカ特集だそうで。何故? ワールドカップだから。
 でもそれでそのチョイスってどうなんだろう。

☆声でオーバーラップ (2010/05/30)

 去年の暮れに今更のようにDVDレコーダ(正確にはBDレコーダなのですがBD使ってないので‥)を導入したらその簡便さにアッと云う間に馴染んでしまい,例えば現在は隙を見ては『絶対少年』をDVDにダビングしながら「やっぱり前半は面白いなぁ――窃視症カメラは気に入らないけど」とかなんとかついついマッタリしています。あいえ,今期のもちゃんと見てます。一番楽しみにしているのは然るファミレスバイトアニメ。もー,なんでみんなそんな可笑しいの! TOKYO MX が映ってよかった!!
 で,それとはまた別に何気にウカウカと見続けている P.A.Works 作品がありまして,そこにこないだゲストキャラクタとして関智一が出演してました。えゝあの,みょーちくりんなヘチャムクレ扁平デザインを棄却廃棄全廃撤去して関口可奈味がキャラクタを全部起こし直してくれればいいのに,と思わず無いものねだりをしてしまったあの回です。いえそれはともかく,ドラマを追ううちに,このキャラクタの何が何時どう歪んでどう狂い出すんだろう,とえらくビクビクしながら待ち構えてる自分を発見してちょっとビックリしたのですが――そうか,状況と立ち位置が似てるんだ‥

 ‥『無限のリヴァイアス』が自分にとってそこまでのトラウマであるとは,思いも寄りませんでした。

☆なんかもう (2010/05/15)

 黄金週間にはコソコソとCOMITIAに参加しておりましたのですが,ただ旧作の出し直しをラインナップに加えただけで終わりましてございます。

☆剣歯虎 (2010/05/10)

 

☆先祖返り (2010/02/01)

 崎元仁のサウンドトラックディスクをチマチマ買い続けているここ数年,現在は現在で『戦場のヴァルキュリア2』を繰り返し聴いています。なんかもう,多分1970年の前後辺りに一旦息絶えた正攻法のオーケストラ劇伴がまんま蘇った感があってみょーに楽しいです。元々,米英の方で古典的な説明音楽が敬遠されるようになって後(これまた“多分”,あっちの方では『スター・ウォーズ』以降かろうじて復権は果たしたものの,嘗ての無邪気さは失われたままであるように思えます),むしろ日本のアニメーションや(特に)ゲーム(すぎやまこういちのお蔭?)にそれが“保存”されているような印象があったのですが,この人の仕事はベクトルを変えてもっと積極的に“押し出し”てると云うか。例えば『ベイグラントストーリー』や『ステラデウス』の極一部の編曲にジェリー・ゴールドスミスの影を一瞬見る,とかそんな細かいとこでウキウキする話でなしに,例えばオスカー・ハマーシュタイン辺りが絡んでそうな“ファミリー”ムービー群BGMの華やかさを見晴るかしつつ,ウィリアム・コーンゴールドその他の上古の活劇音楽にまで遡れそうで気が遠くなります。節操がない等のようなことを云いたいわけではありません。S藤N紀やK野Y子のように常に何かに似すぎていて本人の顔が全く見えないのとは全然違う話。劇伴音楽を何気に一周させちゃったような。

 ――とか云って,別に音楽史的なものに精通しているわけでは更々ないのでアレなんですけど,要するになんと云うか,これって年寄りにこそ聴き易いんじゃないかとふと思った次第。

☆野盗の群れ (2010/01/26)

 こないだ衛星でやってた『ワイルド・バンチ』は10年くらい前にリバイバル上映されてたロングバージョンのようで,エミリオ・フェルナンデスの軍隊がパンチョ・ビリャの革命軍に襲撃されるシークェンス等が入ってまして,フルバージョン初見当時,テンポがだれてヤだなぁとか説明的でヤだなぁとか思ってたもんですが,改めて見ると,単なる悪役でしかなかったフェルナンデスもといマパッチ将軍も一応ちゃんと軍人だったのか,な‥? と何となくキャラクタに幅が出てていいかも知れないと思い直しました。同じシークェンスでウィリアム・ホールデンたちを只働きさせる算段をするなど,同時に只の悪役でもあり続けます。
 それはそれとして,列車には女子供まで乗っていたり屋根にはテント,鉄道列車が移動手段であると同時に生活の場でもあったことは,革命軍についてはジョン・リードその他の著書にそんな記述を見かけたことはあるのですが,政府軍も事情は同じだったんでしょうかね。と云うかあれも軍隊と云うより根っこは特権階級の私兵なのかな。とにかく面白い絵です――語弊があるか。
 あゝそれにしても,ノートリミングっていいなぁ! LD捨てよう‥

☆今更な話 (2010/01/05)

 そう云えば,朝までコースの忘年会では,適当なところで切り上げてタクシーで帰るつもりでいて,でも気づいた頃には(店を締め出された頃には)とうに電車が動き出していました。ではそいつで帰ろうとJR有楽町駅改札へ辿り着いたところ,ホームからの階段を同じような風体の人たちが大群でこちらへ向けて雪崩落ちて来るのでビックリ――いえ,ビビりました。土石流をやり過ごしつつ何事かと呆気にとられること数瞬,しかし時節柄よく考えたら全く考えるまでもない事で:そうか,みんな並びに行くんだ‥
 早朝の苛烈な競争を初めて目の当たりにしたわけなのですが,そもそも,そうなるってことをこれまで全く考えたことがないのに気が付きました。会場周辺の,長蛇と形容しようにも限度ってものがあるだろう的な行列は何度も見てるのに。なるほど,家を出た瞬間から戦いなのか‥

☆4日ぶりに (2010/01/04)

 娑婆を歩いた気がします。と云っても郵便局へ行ったついでに近所をそぞろ歩いただけで,その際の印象はむしろまだなんかこう‥‥娑婆じゃないなこの界隈は。

 眠れる町だ‥

 年末年始は例によってダラダラと,忘年会朝までコースのその夜にまた忘年会とか,たまたま本棚を漁ったら出て来た『荒鷲の要塞』ですとか『ジャガーノート』ですとか『RONIN』ですとかのミドルクラシックビデオをウカウカと見てしまった以外は呑んで寝て呑んで寝て呑んで寝て,或いは姪が退屈し切っているのを見かねて麻雀やってみたり,新年早々皐月章くんがわざわざ『Fate/Stay night』の再インストールを強要しに来たのは一体何故なんだか(いえちゃんと用は他にあったんですけど。或いは堂島ロールとか。おいしかった),仕返しに『ハックス!』を読ませてみたらきれいに嵌ってくれたのでしてやったり,そして『容疑者χの献身』から『龍馬伝』への福山雅治コースは割と悪くなく,一方『救命病棟24時』がやっぱりただの総集編だったのがとても残念で『ダイハード4.0』を見て爆笑して云うかなんだこのガラクタ映画は?
 そんな感じで明けましておめでとうございました。本年もよろしくお願いします。今年の目標はまずは『倫敦から来た男』をちゃんと劇場へ見に行くことです。

 ちなみに年賀状はこれか(略